店づくりについて思う事 [はじめに]
2006年癌と診断されました。現在では珍しくない病気です。
2007年抗ガン剤の治療を受けがら・・・もうこの仕事やめようかな?と思った時期がありました。
貪欲な消費社会に加担して来てしまったような罪悪感を感じたりしたこともあります・・・
そんな時、同じ病室だった人の中に、手術後の癒着や放射線治療の結果、
くりかえして腸閉塞を起こし何ヶ月も食べる事が出来ずに点滴で栄養を摂取している人がいました。
それでも彼女はベッドの上でグルメ番組を見たり、
美味しそうなお店のチェックをしたりしていたんですね。
「食べられないのに辛くない?」と聞くと
「いつかストーマの手術を受けて、食べられるようになったらココに行こうってリストをつくっておくの!
絶対行ってやるんだー!」と明るく話してくれたのを思い出します。
食べる事の出来る幸せ、普通に毎日していたことが普通に出来ることがいかに大切なことか。
同時に自分がやってる仕事は、そんな普通の毎日のなかの一瞬一瞬を
楽しく過ごしてもらうためにやっている仕事なのかもしれないな?と初めて気がついたわけです。
消費が冷え込み、デフレ社会と言われ、世の中に閉塞感が漂っています。
私たちの仕事の内容も華やかに思われるかもしれませんが、非常に厳しい時代です。
必要最低限の事をすれば良いという仕事ではありません
美味しく食べる・・・
という事は、ただ単に食べる事ではないですよね。
いつ?・
どこで?・
誰と?・何を食べる?
食べる時の体調や温度、気候、色、光・・・等々。
様々な場面でその時々においしさというのは変化します。
元気になれる店
やさしくなれる店
強くなれる店
懐かしくなる店
・・・
病室で出会った彼女はおいしい時間を過ごせているだろうか?
どんな人の心にも美味しいと思える場所が作れたらいいな・・・
そんな想いを込めて、これからもこの仕事をしていきたいと考えています。
ま、
たいていの仕事のばあいは修羅場となって
所詮はきれいごと?
・・・なのかもしれませんが。(笑)